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山のあなた [つぶやき]

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『山のあなた』
カール・ブッセ作 上田敏訳


山のあなたの空遠く
「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。

噫(ああ)、われひとと尋(と)めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。

山のあなたになほ遠く
「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。

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中学の頃だったでしょうか、教科書にこの詩が載っていました。


最近読んだ本に出てきて、久しぶりに読みました。


最初に出逢った時には「山の“あなた”」という言葉になぜか惹かれました。


どこか遠くの山の向こうにあるかもしれない「幸い」って…。


この詩を読むといつも、走っても走っても近づけない「虹」を追いかけた子供の頃に思いを馳せます。


追いかけて掴んだと思って見上げたらもっと遠くに逃げてしまっていた。また追いかけて掴むけど決して掴めない。


どうしても手に入れたいのにどうしても届かない、自分の思いではコントロールできないことが世の中にはあるんだとはじめて分かった時の、悔しいような悲しいようなどうにも消化しきれない気持ち…。




「シアワセ」は、どこか…あそこに行けばあるかもしれない、あれをしたら見つかるかもしれない、と追いかけているうちには近づけないのではないでしょうか…。


どこからか誰からか手に入れる、どうしてもなんとしても掴みとる、ものでは実はなくて、自分の中で感じることなのかもしれない…。



最近の朝の習慣で、起きたらカーテンを開けてもう一度布団の上にゴロンと転がりながら空を見上げて「幸せだな」と思ったり。


先日の筝と尺八ライブの一曲目のメドレー、最初のフレーズが「見上げてごらん夜空の星を」で、あれ以来、帰宅途中に夜空を見上げて宇宙や自然の偉大さを感じたり。


熱いお湯をはった湯船につかる瞬間に思わず、ふぁ~と言ったり。


遠くの空にぽっかり白い雲が浮かんでいるのを見て心がほっこりしたり。



そんな身近で普段の生活の中から、自分で感じるのが「シアワセ」なのかも。


なんて思ったりして。


同じ詩を読んで、中学生だった頃に感じたことと、年齢を重ねてから感じることの違いに、自分の年輪を感じたできごとでした。


ひとりごと。




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